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物語の舞台を巡る Book Trip―百瀬、こっちを向いて。―

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百瀬、こっちを向いて。 百瀬、こっちを向いて。/祥伝社

百瀬、こっちを向いて。

相原ノボルの自己評価は「人間レベル2」。教室の中では、まるで薄暗い電球のような存在だった。他人ともうまく関われず、女の子とは一生縁がないと諦めていた。そんなある日、ノボルは学校一の人気者である先輩・宮崎瞬に呼び出され、野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽との「嘘の恋愛関係」を提案される。尊敬する“瞬兄ちゃん”からの提案ということもあり、戸惑いながらも受け入れるノボル。「嘘」から始まったそれぞれの恋の行方は―。

タイトル:百瀬、こっちを向いて。
著者:中田永一
発行所:祥伝社
価格:¥571+税

「こっち向いて。」と願ったことがある、すべての人へ。

恋は決して甘いだけではない。それが初恋だったらなおのこと。さらに「人間レベル2」の男子が、美少女に抱いた恋心だとしたら…。想像するだけで胸が苦しくなります。「百瀬、こっちを向いて。」は、そんな初々しい恋のときめき、切なさ、甘酸っぱさ、その他の感情を全部詰め込んだ、みずみずしい青春小説です。舞台は福岡県の久留米市。主人公のノボルが新幹線を降り、博多駅のホームに立つところから始まります―。高校生のノボルと百瀬、瞬兄ちゃんと神林先輩の4人の間に交差する恋のベクトルは少し複雑で、かなり厄介。そんな4人の危うくてアンバランスな空気感が情景豊かに表現されていて、恋をテーマにしているのに甘ったるくなく、純文学を思わせる印象に仕上がっているのは、ヒロイン百瀬のキャラクターゆえ。自身の恋に翻弄(ほんろう)されながらも、凛としていて美しい百瀬に触れるたび、読者はノボルと同じ熱量で、「百瀬、こっち向いて。」と彼女の背中を見つめることになります。そして物語は、意外な方向へ―。この結末は、あの日グラウンドの片隅で、教室の後ろの席で、誰かの横顔に「こっち向いて。」と願ったことがある人すべてを、爽やかに救ってくれるはずです。

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