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プログラミングは「自分を表現するツール」。子供たちの可能性を引き出せる。
プログラミングは「自分を表現するツール」。子供たちの可能性を引き出せる

二人のトップランナーが語る
「プログラミング教育の魅力」

今、大きな注目が集まっている「プログラミング教育」。
いち早く子供向けのプログラミング教室を展開し、順調に事業を拡大しているライフイズテックの水野雄介さん。IoTプロデューサーとして様々な事業で成功を収め、新たに教育分野にも参入したCAMI & Co.の神谷雅史さん。
二人のトップランナーにその魅力を伺いました。

プロフィール

写真左:神谷 雅史(かみや まさふみ)

慶應義塾大学環境情報学部(SFC)卒業。日本ユニシス株式会社 総合技術研究所、アクセンチュア株式会社 経営戦略部門を経て、2012年、株式会社CAMI&Co.(キャミーアンドコー)を設立。IoT・AI分野のコンサルティング、プロデュース、ハードウェア・ソフトウェアの受託制作、インテグレーション、教育を一手に引き受けている。
公式サイト:https://cami.jp/
IoT School:https://iot-school.jp/

写真右: 水野 雄介(みずの ゆうすけ)

慶應義塾大学理工学部卒、同大学院修了。大学院在学中に、開成高等学校の物理非常勤講師を2年間務める。その後、人材コンサルティング会社を経て、2010年、ライフイズテック株式会社を設立。14年にはコンピュータサイエンスやICT教育の普及に貢献している組織に与えられる“Google RISE Awards”を東アジアで初めて受賞するなど、世界的な注目を集めている。
公式サイト:https://life-is-tech.com/

目指したのは、子供たちが「好きなこと」を夢中でできる環境(水野さん)

――水野さんは、中学・高校生を対象に、最新のIT技術を学ぶ場として『IT教育プログラム「Life is Tech !(ライフイズテック)」』を、神谷さんは、小学生を対象に、論理的思考や想像力、コミュニケーション能力の育成を目標とした『IoT SCHOOL』をそれぞれ主催されていますが、そもそもはどのようなキッカケで始められたのでしょうか。

水野:僕は以前、開成高校と早稲田高校で物理の教師をしていました。生徒は皆スマホゲームやネット動画が大好きで、いわゆる「受け手」として楽しんでいる場面をよく見かけたので、ある日、「作り手」に回ってみるように勧めてみたんです。すると、作ったゲームやアプリを嬉しそうに見せてくれて。彼らはきっと、家では「ゲームばかりして」などと怒られて、誰からも褒めてもらっていない。人って好きなことじゃないと夢中になれないし、能力を伸ばせないと僕は思っていて、生徒たちが好きなことを思う存分やれる環境が作りたくて、2010年に『Life is Tech !』を設立しました。

神谷:弊社はもともと経営コンサルティングをベースに起業し、ロボット企業などの経営サポートをメインとしてきましたが、昨今のIoTマーケットの拡大で、IoT事業に参入しました。いよいよマーケットが大きくなる中、人材を集めようと思ったところ、実はIoTやロボットのコンサルティングをこなせる人が、ほとんどいないことに気づきました。人材を育てるには最低でも5年や10年はかかりますし、IoT人材は今後ますます必要になってくる。そこで「IoT教育事業」にも参入し、その一環として『IoT SCHOOL』を立ち上げました。

ライフイズテックが運営する、中学生、高校生のためのLife is Tech ! サマーキャンプ2017は全国各地で有名大学を会場に開催。

ライフイズテックが運営する、中学生、高校生のためのLife is Tech ! サマーキャンプ2017は全国各地で有名大学を会場に開催。

マネタイジングやマネージメントする力も身につけてほしい(神谷さん)

CAMI&Co.が運営するプログラミング・デザイン・ビジネス専門塾「IoT SCHOOL」のWebサイト

――それぞれ、具体的にはどのようなサービスを行っているのでしょうか。

水野:年間1万人くらいの子供たちが参加するキャンプとスクールを開催しています。キャンプは春休み・夏休み・冬休みに5日間くらい、全国およそ20校の大学と連携し、専門知識のある大学生が、講師として5〜6人の生徒に教えています。一人ひとりの生徒に合わせた指導をするため、その子が作りたいものを自由に作れるのが特徴ですね。中高生は難しい年頃で、こちらで決めたことを頭ごなしに言っても聞かなくなってしまいます。少し年上のお兄さん、お姉さんが教えることで、心を開き、仲良くなって、「こんな先輩になりたいな」という具体的な将来像が描きやすいというメリットもあります。

CAMI&Co.が運営するプログラミング・デザイン・ビジネス専門塾「IoT SCHOOL」のWebサイト

――子供たちが興味を持ちやすいカリキュラムを作成しているわけですね。

水野:大人の視点で「将来、こういうものが必要だから作りなさい」と言っても、なかなかやる気は出ません。「自分でもゲームが作れるんだ!」って思ってもらった方が楽しいですよね(笑)。それと、僕らが大事にしているのは「プロと同じ土俵でやる」ということ。iPhoneだったら「Swift」、3Dだったら「Maya」、画像処理なら「Photoshop」など、プロが使うツールを教材としています。

神谷:私たちは現在、小・中学生と大人を対象にしたカリキュラムを実施しています。コンセプトは「IoTを通して幅広い技術とマネージメントを学び、課題発見能力を育む」というもの。一口に「IoT」と言っても実に幅広く、「ものづくり」や「IT事業」にも関わってきます。さらにハード面、ソフト面すべてを理解するIoTプロデューサーとしての能力も、今後はとても重要になってくるでしょう。単にエンジニアリングだけ学んだとしても、グローバルな視点でビジネスをやるのはなかなか難しいと思っています。

――専門分野に特化しすぎると、視野が狭くなってしまうということでしょうか。

神谷:どうしてもそうなってしまいます。例えばアメリカではお金の価値や、マネタイズ(稼ぎ方)を小さい頃から教えています。「これだけの労働をすれば、これだけの対価が支払われる」ということを体感する機会があるのです。これからは黙って与えられた仕事をしていれば、自然にお金が入ってくるという時代ではありません。我々のスクールでも、専門知識をただ学ぶのではなく、それを使ってマネタイジング、マネージメントする力を身につけて欲しいのです。

プログラミングは「自分を表現するツール」になる(水野さん)

――お二人とも、成果はリアルに感じていますか?

水野:強く感じています。例えば、学校で「いじめ」にあい、不登校になってしまった子がキャンプに参加し、自分の好きなものを形にして表現することで自信がつき、学校へも行けるようになったケースがありました。親御さんも、とても喜んでおられました。その他の子でも、作ったアプリが10万ダウンロードを達成し、15歳にして起業した女の子もいます。その後アメリカの高校へ進学した彼女は、アプリの世界大会で2位を獲得しました。今後の日本を引っ張っていく人材になっていくでしょう。大事なのは、自分を表現するツールとして身につけ、自信を深めていくことなのですよね。

――将来、プログラミングの仕事に就かなかったとしても、スクールやキャンプで学んだことは役に立つと思いますか?

水野:はい。僕は、参加した子供たち全員にエンジニアになって欲しいとは全く思っていません。ただ、今後はITの知識を知っているか知らないかで、その子の可能性、幸せになれる確率が、大きく左右されるのではないでしょうか。例えば、スポーツもデータサイエンスの時代です。プロ野球選手に憧れていた子が、たとえ選手になれなかったとしても、ITの知識があれば野球に関わる仕事に就ける可能性は多くなります。医療や自動車の分野でもそう。いろんな業界でITが活用されるので、最低限のリテラシーとして身につけておくのは、自分の好きなものを仕事にできる可能性を上げることになるはずです。

神谷:私も実際、プログラミングをやっていた人間なのでよくわかるのですが、ロジカル能力は間違いなく高まります。プログラミングの仕事に就かなくても、論理的思考が鍛えられる。それと、プログラミングがアメリカでできたものなので、発想が英語なんです。文法的な部分でも英語に近いので、英語力も自然と身につく。そういう副次的な効果は色々とありますね。「ものづくり」という面でもそう。例えば、「様々な制約の中で、いかに最適な選択をしてものを作れるか?」というコスト的な感覚や、「納期までに仕事を終わらせるために、どのようなペース配分をすればいいか?」というスケジューリングも学べます。

オンラインで学べるプログラミングの学校を作りたい(水野さん、神谷さん)

――文部科学省が、2020年から小学校での「プログラミング教育の必修化」を検討すると発表し、ITやプログラミングを学ぶ機会がますます必要とされていくのでしょうね。最後に、お二人の今後の展望についてお聞かせください。

水野:現在、力を入れているものの一つは、オンラインで学べるカリキュラムです。対面式で学ぶのが一番望ましいのですが、経済格差、地域格差を打破するためには「知のオープン化」が必要だと思っていて。エンタメの要素も増やし、「学んでいる」という感覚もなく、楽しみながら力がつくものにしたいですね。それから、将来的には学校を作りたい。「21世紀型の学校」をコンセプトに、学ぶものも、学び方も、ビジネスモデルから変えていけたらと思っています。例えば、一人の教師が数十人を教えるという構造自体、既に限界がきていると思うのです。21世紀は「個の時代」。それに対応した学校を、2020年を目処に実現できたらと思っています。

神谷:実は、私も学校を作りたいんですよ(笑)。IoT、ものづくりに寄った学校をイメージしています。うちの即戦力のメンバーは現在、工業高校、高専出身者が多いんです。例えば、有名大学の理工学部を出て学問としてのIoTは理解していても、実技には応用できない子がいる一方で、高専卒の子がバリバリできたりする。こんなにIoTが叫ばれているのに、ちゃんとしたカリキュラムがないからなんですね。まだようやく「IoT教育事業」に参入したところなので、2020年はちょっと難しいと思いますが、まずはヴァーチャル高専を立ち上げたいですね。

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